2009年9月4日金曜日

北アルプス・穂高岳 2009/9/4-9/6

2009 0904-0906 穂高岳

一日目

今回の合宿は、監督が車を出して下さったので、学校に集合し上高地手前の沢渡まで、車で行きました。沢渡から上高地までは、マイカー規制が実施されていて、タクシーに乗換え、上高地バスターミナルまで行きました。ここはたくさんの観光客でいっぱいでした。有名な河童橋から、遥か遠くに奥穂高岳を眺めることができ、これからあの山の頂を目指して、歩くのかと思うと「こりゃ大変だ・・・」と感じました。
いよいよ山行開始です。といっても、上高地から横尾までの約3時間は、ほぼ平坦な道が続きます。ウォーミングアップといったところでしょうか。横尾までは、みんな元気にいいペースで進んでいたと思います。
横尾は涸沢・穂高岳方面と槍ヶ岳方面との分岐点です。私たちは横尾大橋を渡り、涸沢方面に進みます。ここからは一気に山道になります。しばらく行くと空があやしくなってきました。ポツポツ降りだし、さらにゴロゴロ雷も聞こえます。次第に雨が強くなり、レインウェアを着て進みます。その後、雷は収まりましたが雨は強く降り続けます。本谷橋からは勾配がきつくなり、雨の影響もあって体力が奪われ、かなりキツかったです。この合宿のなかで、ここが一番キツかったという部員もいました。途中で何度か一本を取り、やがて雪が見えてきました。私自身、この時期に雪を見るのは初めての経験でびっくりしました。この雪は万年雪といって、一年中溶けずに残っているのです。そして、背の高い木々がなくなり、ようやく涸沢に到着しました!
キャンプ場には、たくさんのテントがあり、ハイカーで賑わっていました。私はここを「天空の町」と表現したいと思います。標高2300メートル。ここには下界とは全く違う、周りをアルプスの山々に囲まれた一つの町がありました。それこそ、ジブリの世界とでも言いましょうか。そんな世界が一面に広がっていました。テントを建てて一服していると、もう夕飯の時間です。今夜はカレー。監督の創作料理(?)ポテトサラダも加わり、みんなでおいしくいただきました。食事が終わると、もうあたりも真っ暗です。いつの間にか雨はやみ、空には月が輝いていました。明日に備え、21:00に就寝となりました。

 二日目

5:00起床。さすがにアルプスの朝は涼しい(寒い)です。今日は快晴!絶好の登山日和です。日の出もキレイに見えました。山を照らす太陽の光はとても神秘的かつ幻想的で、ここに来た者だけが見ることができる風景です。この絶景に元気をもらい、簡単に朝食を済ませて水をばっちり補給して出発です。監督から「今日のルートは、危険箇所があり緊張感をもって、ゆっくり進むことが大事」というアドバイスを受け、まずは目の前にそびえ立つ北穂高岳(3,106m)の頂を目指します。
歩き始めると、いきなりの急勾配。ですが今日はザックが軽いので、みんな元気いっぱいです。ただ標高が高いため、少し歩くと息切れがしてきます。こまめに一本を取りつつ進みます。やがて、クサリやハシゴが登場。私は高所恐怖症なので、なるべく下を見ないように、両手両足を使い、慎重に進んでいきます。それから落石を落とさないことも重要です。そして北穂高岳に到着しました!周りには日本アルプスの山々が幾重にも連なり、尖った槍ヶ岳も見ることができました。また、あたりには雲海も広がっていて、疲れも吹っ飛ぶような絶景をしばらくの間、堪能していました。
次は涸沢岳(3,103m)を目指します。この北穂高岳から涸沢岳までが危険箇所。いやぁ、怖かったです。「キツかった」というよりは、「怖かった」の方が上ですね。クサリが連続し、まるでロッククライミングです。直角の壁をよじ登っている印象でした。(多少、大げさかも知れませんがご了承ください。)もし足を踏み外したら・・・そんな恐怖感と闘った約2時間でした。しかし、監督によると「ここは、まだまだでもっと危険なところはたくさんある」とのこと。いや、恐れ入りました、北アルプス。それでもなんとか、涸沢岳に辿り着き、そのまま歩き穂高岳山荘へ。ここで昼食をとりました。
そして北アルプスの最高峰、奥穂高岳(3,190m)を目指します。ここはハイカーが多く、譲り合いながら進みます。そして強風の中しばらく歩くと、360度の大展望が広がり奥穂高岳到着!やりました~キタホ・オクホを制覇しました。遠くには上高地が見えました。昨日河童橋から眺めた、遥か遠くの山の頂に私たちは、今立っているのです!!これには本当に感動しました。
そして下山です。ここで事故が起きてしまいました。山を制覇したことでの気の緩みやこれまでの疲労の蓄積があったのかも知れません。部員の一人が下山中に転倒し、歩行不能になりました。ちょうどすぐそばが穂高岳山荘だったので、そこで応急措置をしました。(詳しい事故の概要やその後の対応については「新・ワンゲル的掲示板」を参照してください)今考えれば、山小屋が近くて本当に助かりました。計画ではこの後、涸沢キャンプ場まで戻る予定でしたが、それは不可能と判断し今日は山荘に宿泊することになりました。このときの監督の対応が非常にしっかりしていて、部員は皆突然の事故に動揺しているなか、大変助けられました。この場を借りてお礼申し上げます。
幸い、片足は動かないものの意識はしっかりしており、また山荘での夕食も普通に食べていたので、少し安心しました。今夜も空にはキレイな月が輝いていました。いろいろあって、皆疲れていたので20:00すぎに就寝となりました。

 三日目

5:00前に起床。一夜明けて足首は昨日よりも腫れ、歩行は困難と判断し、ヘリによる救助を要請することになりました。救助は8:00頃ということで山荘の方にお願いをして、私たちは4人のパーティとなって、下山することになりました。今日も快晴です。ちょうど山荘前では見事な日の出を拝むことができて、アクシデントはありましたが、最後まで気を抜かずにがんばろう!という気持ちになれました。
まずは涸沢まで下ります。1時間程度で到着できました。ここで1日置きっ放しだった、テントを撤収し、自分の荷物に加えて1人分の荷物をみんなで分担して持ちます。ザックの中には入りきらない部員も多く、外に括りつけたりしてパッキングし、涸沢を後にします。振り返ると、昨日上った、キタホやオクホが私たちを応援してくれているように感じました。
初日上った道を下ります。やはり重い荷物を背負うと、足への負担もかなりのものがあります。事故だけは起こさないよう、慎重に進みます。また上ってくる方も多く、道を譲りながら下りました。本谷橋で一本を取り、もうひと踏ん張りして横尾に到着。ここからは単調は平坦道です。ただひたすら歩きます。ここからの3時間が地味にキツかったです。そして13:00、上高地に帰ってきました!奥穂高岳山頂から、小さく見えた上高地に今帰ってきたのです。なんともいえない感動がそこにはありました。
ヘリで搬送された部員は高山に運ばれ、すでに治療が完了し、親御さんも到着しているということで沢渡で会うことになりました。足首骨折のおそれがあるということですが、普通に会話もできますし元気そうで、私はとても安心しました。この事故につきましては、多方面の方々に大変ご迷惑をおかけしまして大変申し訳ありませんでした。部員一同お詫び申し上げます。今後は危機管理体制についても部内でしっかりと検討していきたいと思います。
帰りの中央道は大渋滞で、監督は大変お疲れのなかの運転ありがとうございました。無事に21:30、学校に到着しました。今回の合宿は監督に同行していただいたからこそ、実施することができました。私自身、アルプスなんか無理だろうと思っていました。思わぬアクシデントもありましたが、これを今後の課題と位置づけ、頑張っていきたいと思います。また私は4年でもうじき卒業ですが、部員のみんなにはこれからもいろいろなことに挑戦してもらいたいと思います。きっと一生の宝物になるでしょう。
長い文章になりましたが、最後まで読んで頂きましてありがとうございました。

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